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その時、部屋の左奥にある扉が自然と開いた。
「…こっちに進めって言ってるみたいね。」
主語は誰だという突っ込みはしなかったが、まぁそういうもんだろう。
「行くか?」
「そうね…」
俺の問いかけにルナは珍しく真剣な表情で答えた。
「妙に冷たい空気が…くる。」
禍々しいという言葉が適切か。
ただならぬ雰囲気だ。
「兄さん、ユグさんが言いかけてた西側のって…」
「あぁ、たぶんこの扉だろう。」
「じゃ、東側もあるのかな?」
「扉はあったとしても、開いていないだろうな。」
根拠はない。そんなもんだろう、という予測だ。
「ちょっとまずいわね。上手く連携できる?」
ルナも慎重になっている。
「スニークで俺が先に行く。すぐに一旦戻る。」
「わかったわ。無理しないでね。」
初めて聞くルナの配慮の言葉を背に、俺は扉をくぐった。
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