『土佐日記』と作者・紀貫之について

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  紀貫之のジレンマか遊び心かは分かりませんが、『土佐日記』は日本初の、 女性による、日記形式の、ひらがなを用いた文学作品として広まっていきました。 もっとも当時から「女がこんな事いわねえだろw」というツッコミがあったようですし、挿入される和歌の内容や“ご主人様”の経歴からすぐに紀貫之の作品だとバレていたようです。 まあ、紀貫之も別に隠す気は無かったのでしょうが。 そして何より、『土佐日記』は後世の日本文学に大きな影響を与えました。それまでの日本には“女が本を書く”という発想自体があまり無かったのですが、 『土佐日記』以降、影響を受けた宮中の女性達が続々と日記やエッセイを執筆するようになります。 こうして平安時代以降、『蜻蛉日記』『和泉式部日記』『紫式部日記』『更級日記』『枕草子』などの、様々な女流文学が日本に花開いたのです。 紀貫之は、これからは女性も執筆活動をする時代が来る事を予測していたのかも知れません。 紀貫之が女性作家になりきって書いた『土佐日記』。 私は彼こそが日本(世界?)初の“ネカマ”なのだと信じ、ユルユルと現代語訳していこうかと思います。 さて、しばし拙訳にお付き合い下さいませ……
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