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12月22日。
今日は「とりあえず和泉の国(現在の大阪府南部)まで、平穏に行けますように」と、神様にお祈りしました。
今日は藤原のトキザネさんが、船旅なのに“馬のはなむけ”をしてくれましたよ!
偉い人もそれなりの人も下っ端の人も、みんな飽きるほどお酒を飲んでフラフラに酔っ払ってしまいました…(照)
海岸の側で大騒ぎしちゃったなあ。
12月23日。
八木のヤスノリさんという方がいます。この方は国に仕えているワケでもないのに、私達に盛大な“馬のはなむけ”をしてくれました。
普通、田舎の人は「これでお別れです」という時になっても見送りに来てくれないモノです。
ですがこの地方の人達は、去っていく国司であるご主人様を優しく見送ってくれるのです。コレはご主人様の人徳なのかな?
……あ。一応言っておきますけど、餞別をもらったからこの地方の人を褒めてるワケではないですからね!
12月24日。
今日はお寺の住職さんが“馬のはなむけ”をしてくれました。
本当にたくさんの人が駆けつけてくれて、偉い人から子供までお酒を飲んで酔っ払っていました。
「一」の漢字も知らないような人達が、足を交差させて「十」の字を描いて寝ているのが面白かったなあ。
(余談:“馬のはなむけ”とは、本来は旅の無事を祈って「乗る馬の鼻を目的地の方角に向ける」おまじないでした。
しかし紀貫之の時代には既に形骸化して、単に「お別れの餞別・宴会」という意味の言い回しとして使われていたのです。
わざわざ強調して「船旅なのに馬のはなむけ!」と書いているのは、どうも紀貫之の渾身のオヤジギャグのようです…(笑)
『土佐日記』は日本文学で初めて駄洒落やジョークをしたためた作品だと言われています)
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