ストーリー:難易度一

4/12
前へ
/33ページ
次へ
 その人は女性で、腰から下に黒く長い布を巻き付けており、胸元も同じ様な布で隠してあった。因みに背中は丸見えだ。  「あ、もしかして新しい人?」  女性が明るい声を出すと、リンドウは軽くそちらに顔を向けて言う。  「あー、今厳しい規律叩き込んでる所だからあっち行ってなさいサクヤ君」  「了解です、上官殿」  冗談っぽく言って、女性はニールに向けて優しそうに微笑みながら軽く手を振り、出口に向かった。  「とまぁ、そういう訳で、だ」  リンドウは軽く頭をかき、本題に入った。  「早速お前には実戦に出てもらうが、今回の緒戦の任務には俺も同行する。……っと時間だ。行くぞ」  いよいよ実戦だ。ニールは気を引き締め、頷いた。  旧市街地とは、文字通りかつて人が住んでたが、今ではアラガミに喰い荒らされてただの廃墟と化してる所だ。  そんな場所に、ニールとリンドウは神機を携えてやってきていた。  「ここも随分荒れちまったなぁ」  赤黒いチェーンソーに見える神機を肩で担ぎ、廃墟を眺めながらリンドウが一人感慨めいた呟きを漏らした後、彼はこちらを見た。  「おい新入り、実地演習を始めるぞ」  その顔は、先程冗談しか言ってなかった男の顔では無かった。  「命令は三つ。  死ぬな。  死にそうになったら逃げろ。  そんで、隠れろ。  運が良ければ不意をついてぶっ殺せ。  ……あ、これじゃ四つか?」  リンドウは軽く肩を竦めて、纏めた。  「ま、とにかく生き延びろ。それさえ守れば、後は万事どうにでもなる」  その言葉に、ニールは頷いて答える。実にシンプルで分かりやすい命令だ。  「さーて、おっぱじめるか!」
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!

15人が本棚に入れています
本棚に追加