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助手席の窓をあけると、爽やかな秋風が届いた。
ウチまで車を取りに行ってからの出発で、短い秋の日はだいぶ傾き始めていた。
「道はすいてていいけどさぁ…」
反対車線は渋滞中だ。
「これから行けるとこって…。つか、どこ行くか決めたの?」
「うーん…。オマエはあんま面白くないだろうけど、付き合ってくれる?」
「…いいよ、暇だし」
――もともとオマエの散歩だし…。
傾いた西日が車内に直に入ってきて、タケルの端正な横顔をクッキリ照らし出した。
相変わらずのポーカーフェイスは感情を計りかねる。
けれども、出掛けると決まった時のウキウキした感じはなくなっていて…。
「…眩しくねぇの?」
そういいながら、バイザーを下ろしてやった。
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