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『カチャ……』
ぴくりと聞き耳をたてる。
『………パタン』
床はちっとも軋まないけど,確かに足音が段々こっちに近づいてくる。
あぁ…ちょっと寝てたな。
起きるのも面倒でそのまま横になっている。
咲真が帰ってきたんだな。
足音がベッドの前でとまる。
咲真が息をのむ音がした。
わたしの頭にそっと手が触れた…瞬間びくっとする。
ぱっちり目を見開く。
「ごめん,起こしてっ…」
『いや…わたし起きてたし。…なんかびっくりさせてごめん。おかえり。』
わたしはそっと腕を抱く。
かたかたと震えている。
咲真が一瞬悲しそうにしてから,にっこり笑う。
「大丈夫」
しっかり抱きしめてくれる。
この人が手をあげるわけはない。
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