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ベッドのシーツを掴んで震えがおさまるのを待つ。
さっきから,昔の記憶が断片的にちらつく。
思い出すまいとするたびに,頭痛がする。
『ばんっ…ばさっ……』
何やら騒がしい音をさせているのは咲真だな…きっと。
呆れて音のする方を見遣ると咲真が現れた。
髪から雫を滴らせて。
Tシャツにスエットというラフな恰好で。
この人は本当にアイドルなのかな…。
「雪,一人にさせててごめんね」
シャワーを浴びたての咲真はあったかい。
『大丈夫なのに…てか,風邪ひいちゃう。タオル持ってくるから。』
差し出された手を握らずにひらりとかわす。
「急いでたから仕方な一い。てか風邪とかひかないし!」
ガン無視してタオルでわしゃわしゃ髪を拭いてあげる。
大型犬みたい…。
当の本人は気持ちよさそうにしている。
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