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『咲真の今日だけは何回あるの』
ツアー中はいつもこうだ。
普段よりも一緒に寝てと頼まれることが多い。
「…う一わ一……一人で寝てみる。おやすみ,雪。でも雪は女の子だからベッドねっ」
ぱたぱたソファーを先に陣取られてしまった。
…仕方ないよね。
広いベッドに一人。
寂しいとかいう感情はもうないけれど,何となく咲真が心配で。
じきに寝息が聞こえるだろうと目をつむった。
どのくらいか眠っていた。
起きたのは何か聞こえたから。
「………ぅ…やめて…」
咲真っ!
「…いやだ…やだ……」
慌ててベッドから駆け降りる。
『咲真!』
ソファーで眠っている咲真は端正な顔を苦痛に歪ませている。
涙が一粒転がり落ちた。
咲真にそっと触れる。
『起きて!』
一緒に眠ってればよかった…心の中で舌打ちをする。
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