『それは(きっと)デート』

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なんで止めるの?とでも言いたそうな顔で、イヴは回す手を止めた。 うぅ……目が回った…… やれやれ……こんな速さだと、コーヒーカップに年齢制限できるよ。 「イ、イヴ?速すぎるとは思わなかった? 周りを見てみて」 「あ、ホントだねー! ゆっくり回すんだー……」 そうそう、ゆっくりだよ。 再び、イヴは控え目にハンドルを回し始めた。 「それで、楽しく会話しながら乗るものなんだよ。 多分ね」 「なるほどー」 とは言ったものの…… 好きな人ごめんね。 何が楽しいのか分かんないや。 結局、そのままグダグダと終わってしまった。 「イ、イヴさん今なんと……?」 聞き間違いだと信じたくて、目を輝かせるイヴに聞き返す。 「だからねー?お化け屋敷に入ろーよー!」 「あはは……お化け屋敷か……」 うーん、お化け屋敷…… 苦手なんですよ。 怖くはないんだ。 ただ、少し嫌な思い出があってね…… 「ほらー!早く早くー!」 「え……ちょっとちょっと!」 しかしだ。 イヴは俺に選択肢を与えてくれなかった。 その異常に強い力で、俺を引っ張る。 ……やむを得ない。 腹をくくろう。
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