『それは(きっと)デート』

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パンフレットの通りに道を行くと…… 見えてきた。 「本格的だな……」 周りとは完全に違った空間、空気の建物。 雨風に長い間曝されたといった感じのボロボロのお化け屋敷は、多分苦手な人ば俺のように゙見ただけで逃げ出したくなるだろう。 この雰囲気、半端じゃない。 「ち、ちょっと怖いねー」 「でしょ?よし、悪いことは言わない。 やめておこ「でも」 俺の言葉を遮って、イヴは先ほどの恐怖なんて感じさせない、とびっきりの明るい微笑みを湛える。 「ゆーきがいるから、大丈夫だよー。 ゆーきは、すっごく頼りになるもんー」 ぬぐぐ……俺も苦手なんだけど…… こんなに完全に信頼されてたら、言いにくいじゃないか……! 「じゃあ、行こっかー」 「う、うん……」 あー! 嫌です嫌ですって! 心の中で必死に抵抗の言葉を発するものの、栓無きことだよな…… ちゃちゃっと入場料を払い、俺とイヴは軋む木の戸を開けた。 フーッと、冷ややかな風が、弱く流れてくる。 いやいや!早速だけど、こってるなぁ! 激しい抵抗を覚えつつも、戸と同じく軋む床に歩を進める。 「ゆ、ゆーき……」 「大丈夫。大丈夫だから……」 何とか安心させようと、平常心を心がけるけど、内心イヴと同じくビビりまくってます。 怖いとかじゃないんだけど……
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