『それは(きっと)デート』

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不気味な光源が多いから、窓が無いにも関わらず、見えないってことはない。 だけど、それが余計に怖さを倍増させているな…… 決して離れようとしないイヴのせいで歩きにくいけど、進むしかない。 加えて、この状況。 右腕に引っ付くイヴを意識すればするほど、ドキドキする……! くっ……! ただのお化け屋敷のはずが、なかなかにハードルが高くなってるじゃないか! 「ゆ、ゆーき?どうしたの? 何かあったの?」 ビクビクと警戒しているイヴは、考え事をしている俺を見て、不安になったみたいだ。 「いや、何もないよ。 それより、早く行こう」 「う、うんー」 また不自然に何事もなく、矢印が指す方へと進んで行く。 これだけ本格的なのに、まだ取り立て何も無いなんて……不気味すぎるぞ。 と、その時だった。 「キ……キャ―――ッ!」 「うわぁ!」 突然、イヴが悲鳴をあげた。 俺はそのイヴの悲鳴に驚き、間抜けな声を漏らしてしまった。 俺がお化け屋敷苦手な理由……これだ。 昔、桜花と行ったときも、こんな感じで驚いた。 つまりはね。女の子の大音量の悲鳴が苦手なんだよ。 「む……生徒会長か?」 「その声は……」 テンプレの井戸から出てきてイヴを驚かせた、白い着物の女性。 その声に、俺は聞き覚えがあった。
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