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「……沙奈?」
「やっぱり、生徒会長のようだ。
こんなところで何をやっているんだ」
俺は「こっちのセリフだ」と、加賀谷 沙奈(かがや さな)に突っ込む。
沙奈は、桜坂学園生徒会の書記だ。
長い黒髪、それにダルそうな黒の目が、外見的に唯一あげられる特徴かな。
ミステリアスで掴み所の無いヤツで、彼氏共々、なかなか生徒会に顔を出さない。
こんな沙奈の彼氏ってのは……まあ、今はいいか。
「沙奈はバイト?」
「いやなに、単に人を驚かせたくなっただけだ。
飽きたから今日で辞める」
ははは……まあ、常人に理解できない奇行は、今に始まったことじゃあない。
「それより、イヴァレンスを追いかけなくていいのか?
ここは客が走ることを想定して作られてはいるが、なかなかに危険だと思うぞ」
「……そうだね。
じゃあ、バイトがんばって。
たまには生徒会の仕事しに来なよ」
「全力で拒否する。
しかし辞めん。じゃあな」
何のために籍を置いてるんだか……
いや、いつものやり取りだ。
今はイヴを追いかけないと。
しばらく歩くと――
「怖いよぉ……」
お化けの出なさそうな、廊下の端で頭を抱えて座り込み、震えているイヴがいた。
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