『それは球技大会』

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「偶然、球技大会の日に大学部が休みで、大学部のコートも使えるんだと…… 知るかってんだ、まったく…… ダルいからサボるか」 とかなんとか問題発言を残して、黒川先生は生徒会室を出ていった。 「テニス、か……」 「まあ、いいじゃない。 いつもは出来ないことをするのも、いい経験になるし」 知佳は「それとも」と言葉を続ける。 「負けるのが怖いのかしら? 元テニス部のエース様」 「やめてくれよ…… そんなんじゃないって」 「なら、何も問題無いわね。 よしっ、今日すべきことは、これで片付いたわ」 椅子に座りながら大きく伸びをして、俺は立ち上がった。 「ふぅ。お疲れ様、知佳」 「ええ、今日もお疲れ様。 ……さて」 知佳も立ち上がり、俺にジリジリと近付いてくる。 「あのー……知佳さん?」 「何かしら?」 「いや、何かしらじゃなくて……」 言葉を交わしているうちに、壁にまで追い込まれてしまった。 「ふふ……最近、悠樹君、冷たいんじゃない?」 「よし、落ち着こう、知佳」 これが、知佳のもう1つの顔。 エロ知佳さんです。 「そんなこと言って……落ち着いてないのは、悠樹君のここじゃないの?」 「ち、ちょっとちょっと!」 すーっと、滑らせるように、細い人差し指で俺の胸を撫でる。
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