1756人が本棚に入れています
本棚に追加
/340ページ
そう。俺が急いでいたのは、こういった事態を回避するためだったのです。
知佳め……今日に限って、息つく間も与えずにスイッチ入ったな……
そして、知佳は――
「ス、ストップストップ!」
「……なぁに?悠樹君。
いつまでたっても慣れないのね」
顔をどんどん近付けてくる。
いや……慣れる慣れないの問題じゃないよね。
実際何度も"されて"いるけど、毎回リアクションは変わらないよ。
「いいじゃない……悠樹君。ね?
悪い気持ちじゃないでしょ?」
艶やかな髪が、するっと流れる。
眩しかった蛍光灯の光が、目前の知佳に遮られる。
「んむ……っ」
「ぁふ……むっ」
悪い気持ちなんて、もちろんないさ。
それどころか、こんなに可愛い子に口付けされてるんだぞ?
嬉しいに決まってる。
最高に背徳感あるけどね。
ちょうど、その時だった。
「あー!ちか、ゆーきにキスしてるー!」
開かれた扉。
そこに立っているのは、先に帰ったはずのイヴだった。
「イ、イヴちゃん!?
どうしてここに……」
「えへへ……2人が頑張ってるから、私も何かできないかなーって思って」
イヴは、その手に持っていたタッパーを開いた。中には、ふんわりと焼き上がったクッキーがあった。
「それより、ちかはゆーきのこと好きなのー?」
最初のコメントを投稿しよう!