『それは球技大会』

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そう。俺が急いでいたのは、こういった事態を回避するためだったのです。 知佳め……今日に限って、息つく間も与えずにスイッチ入ったな…… そして、知佳は―― 「ス、ストップストップ!」 「……なぁに?悠樹君。 いつまでたっても慣れないのね」 顔をどんどん近付けてくる。 いや……慣れる慣れないの問題じゃないよね。 実際何度も"されて"いるけど、毎回リアクションは変わらないよ。 「いいじゃない……悠樹君。ね? 悪い気持ちじゃないでしょ?」 艶やかな髪が、するっと流れる。 眩しかった蛍光灯の光が、目前の知佳に遮られる。 「んむ……っ」 「ぁふ……むっ」 悪い気持ちなんて、もちろんないさ。 それどころか、こんなに可愛い子に口付けされてるんだぞ? 嬉しいに決まってる。 最高に背徳感あるけどね。 ちょうど、その時だった。 「あー!ちか、ゆーきにキスしてるー!」 開かれた扉。 そこに立っているのは、先に帰ったはずのイヴだった。 「イ、イヴちゃん!? どうしてここに……」 「えへへ……2人が頑張ってるから、私も何かできないかなーって思って」 イヴは、その手に持っていたタッパーを開いた。中には、ふんわりと焼き上がったクッキーがあった。 「それより、ちかはゆーきのこと好きなのー?」
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