『それは球技大会』

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ラケットとボールを持って、コートに入る。 よくよく考えると、俺はまだ、イヴの運動神経がどうなのか知らなかった。 さっきのフォームは良くなかったけど、それは単に経験不足なのか、運動音痴なのか…… とにかく、俺も勘を取り戻さないとな。 現役は、中学の頃だったから、大分久しぶりだし。 「じゃあ、いくよ? とにかく打ち返してみて」 「うんー!」 とりあえず、ドライブもカットもかけていない、ゆっくりとした球を打った。 打ちやすいコースに向かってきたボールを、イヴはさっきと同じフォームで、打ち返した。 が…… 「あれー?難しいねー……」 飛ばされた球は、明後日の方向へと飛んでいった。 ……イヴは、恐らく、運動神経いいな。 それも、天才型だ。 ちゃんと打ち返せてはいなかったけど、イヴが多分打とうとしていたコースは、悪くない。 本人は、そんな自覚が無いのだろう。 ……これは、化けるかもしれないぞ。 「大丈夫大丈夫。 筋はいいから、慣れたら上手くなるよ」 「ホント!?よーし、私頑張るよー!」 眩しいくらいにはにかんで、イヴは言った。 そして、サーブを打つ。 残念ながら、ネット。 「む~……サーブも難しいんだね」
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