1756人が本棚に入れています
本棚に追加
「イ、イヴちゃん!俺も俺も!」
「キャッ」
俺から離れたイヴに、信二は息を荒くしてそう言った。
コイツ……性懲りもなく……!
「悠樹ッ!伏せろ!」
聞こえてきた、友の声。
俺はすぐさま屈んだ。
「ミョルニルァッ!」
再び顔面にボールがめり込み、信二は勢いよくぶっ飛んだ。
またマニアックな悲鳴だな……
分かる人、俺の他にこのクラスにいるかな?
「ナイスボール、悟志」
「遅れてすまねぇ」
今の豪速球を見て分かるように、悟志もテニス部に所属していた。
実を言うと知佳もで、3人は部活で知り合ったんだ。
にしても、相変わらず恐ろしい球速と重さだな……
「おい、信二……?
俺も随分丸くなったけどよ。
衰えたわけじゃないんだぜ……?」
倒れている信二の前で仁王立ちする悟志を見て、信二は「ヒッ!」と畏怖する。
「さとし、ありがとー」
「ん、信二がまたしでかしたら、すぐに呼んでくれ」
そう言い残し、悟志は隣のコートに戻った。
知佳と打ってたのか……
「さ、イヴ。信二は放っておいて、俺たちも再開しようか」
「うんー!」
授業の終わりを告げるチャイムが響く。
最初のコメントを投稿しよう!