『それは球技大会』

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「じゃあ、今日はこれにて解散です。 各自着替えてから放課となります」 一旦集まったクラスの面々は、知佳の言葉を聞き、各々動き始めた。 このまま部活にいく人も多いけど、うちのクラスは比較的、運動部は少ない。 「ゆーき、今日も生徒会あるのー?」 校舎へ戻る道の途中でイヴが尋ねてきた。 「いや、今日は――というか、今週の分の仕事はまとめて片付けたから、球技大会終わるまではフリーだよ」 まあ……知佳の言葉に触発されてってわけじゃないけど、俺は今回の球技大会、本気だ。 だから、練習の時間を取る為に、生徒会の仕事の調整をしたんだ。 「ちかも?」 「ええ。 あ、向井君も空いてるんじゃないの?」 「ん、そうだな……お袋から何も言われてないし、空いてると思う」 悟志が用事あるときは、大半がお使いとかだからな…… 「おーかは?」 「私も……妹が留守だから家事もしなくていいし、大丈夫かな」 妹……恋歌。 桜花とは対照的に、家事が壊滅的な子だ。 「じゃあ、私の家のテニスコートで、みんなで練習しないー?」 「イヴちゃんの家?」 「おいおい……テニスコートまであるのかよ? まあ、聞いた感じの家だと、あっても不思議じゃねぇか」 願ってもない話だ。 俺は、ひたすら公園で壁打ちするつもりだったからね。 「うん、俺は是非お邪魔したいな。 みんなは?」
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