『それは球技大会』

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「まあそれはさておき。 時間も惜しいし、早く続きを始めよう」 「うんー!」 さっきと同じように、イヴの左側にボールを打つ。 今度は、俺の方に飛んできた。 「いい感じだよ!」 さらにそれを、ゆっくりとした球速で打ち返す。 腰を沈めて、イヴはフォアで…… 「えいっ!」 俺の逆サイドへ、少し鋭いボールを放った。 なんとか追い付き、打ち返したけど、ボールはイヴの打ちやすいところへ返せなかった。 急激な成長だ。 いや……成長というよりは、元々会得していたものを、思い出しているようにも見える。 いくら成長速度が速いと言っても、異常すぎる。 まあ……上達が速いに越したことはない。 「イヴ、やるね~。 じゃあそろそろ、速いボールも打つね」 「どんと来~い!」 元気いっぱいだな…… 流石にかなり手加減はしながらだけど、ファーストサーブを打った。 高点で打たれたボールは、先ほどより格段に速く、イヴに迫る。 ……少し速すぎたかな? 「えいっ!」 そんな俺の心配なんて易々払拭するように、イヴはドライブをかけて打ち返した。 やっぱりだ。 俺はまだ、ドライブは教えていない。 きっと、少しやったことがあると言っていたけど、その時に一通りはこなしたんだろう。 ……それにしても、異常だとは思うけどね。
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