『それは球技大会』

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「じゃあ、次は―― やっぱり、7時間もの授業の後だから、時間は少なかった。 感覚を少し取り戻してきた、というところで、桜山に太陽が差し掛かり始めた。 「そろそろ終わろうか」 「うん、そうだねー」 まだ日没は早い。 知佳の家はここから遠いし、早めに終わらないとね。 俺たちが着替え終わる頃には、辺りはすっかり暗くなっていた。 「じゃあ、明日からもよろしくお願いします」 「ええ、楽しみにお待ちしております」 「ばいばーい!」 巨大な門の前でアルベルトさんとイヴに見送られ、俺たちは帰路についた。 久しぶりにテニスをしたから、いろいろと思い出すことがあって、短い間だけど、部活が一緒だった頃の昔話に花を咲かせていた。 「お、俺はここでお別れだな」 「じゃあね悟志」 「また明日、向井君」 そこで、俺は気付いたのです。 閑静な住宅街。 悟志も別れ、知佳と2人きり。 ………… まずい。まずいよ。 エロ知佳が目覚める! 「さ、さあ!暗いし早く帰ろう」 「悠樹君?露骨ね~」 「ど、どういう意味かな? ほら、知佳の家まで距離あるし、早く行こうよ」 「え?」 知佳は足を止める。 「送って……くれるの?」
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