『それは球技大会』

20/37
前へ
/340ページ
次へ
リビングに入ると、そこにはケータイで電話中の父さんがいた。 表情は真剣。仕事の電話だろう。 ……しっかし、相も変わらず、父さん英語うまいな。 「悠樹~美樹呼んできてくれる? ごはんできたわよ~って」 「あ、うん」 俺は洗面所で手洗いうがいをし、2階へ上がった。 美樹の部屋は、廊下を挟んで俺の部屋の向かいにある。 「美樹ー?」 「はいはーい」 ノックをして、部屋の主が出てくるのを待つ。 ドアを開けて、美樹の姿が―― 「ち、ちょ!美樹!」 「あはははー!お兄ちゃん狼狽えちゃってかわいー!」 思わず、俺は目をそらす。 な、なんなんだ一体!? なんで下着姿なんだよ!? 「み、美樹!」 「はいはいーっと。 妹の下着姿に反応しすぎだよお兄ちゃん。まあ、変な気持ちはないって分かってるけどさ」 そう言って、美樹はドアをしめた。 ……おいおい、まだ要件聞いてないでしょうが。 「美樹、ごはんできたらしいよ。 早く着替えて降りてきなよ」 「はいはーい」 さて……ん? ポケットの中のケータイが、小刻みに振動している。 「ん……桜花?」 サブディスプレイに映った名前を見て、俺は固まった。 ……用事が無いって言ってたのに、イヴの家に行くのを拒んだ桜花。 そのことに関連した電話かな?
/340ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1756人が本棚に入れています
本棚に追加