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リビングに入ると、そこにはケータイで電話中の父さんがいた。
表情は真剣。仕事の電話だろう。
……しっかし、相も変わらず、父さん英語うまいな。
「悠樹~美樹呼んできてくれる?
ごはんできたわよ~って」
「あ、うん」
俺は洗面所で手洗いうがいをし、2階へ上がった。
美樹の部屋は、廊下を挟んで俺の部屋の向かいにある。
「美樹ー?」
「はいはーい」
ノックをして、部屋の主が出てくるのを待つ。
ドアを開けて、美樹の姿が――
「ち、ちょ!美樹!」
「あはははー!お兄ちゃん狼狽えちゃってかわいー!」
思わず、俺は目をそらす。
な、なんなんだ一体!?
なんで下着姿なんだよ!?
「み、美樹!」
「はいはいーっと。
妹の下着姿に反応しすぎだよお兄ちゃん。まあ、変な気持ちはないって分かってるけどさ」
そう言って、美樹はドアをしめた。
……おいおい、まだ要件聞いてないでしょうが。
「美樹、ごはんできたらしいよ。
早く着替えて降りてきなよ」
「はいはーい」
さて……ん?
ポケットの中のケータイが、小刻みに振動している。
「ん……桜花?」
サブディスプレイに映った名前を見て、俺は固まった。
……用事が無いって言ってたのに、イヴの家に行くのを拒んだ桜花。
そのことに関連した電話かな?
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