『それは球技大会』

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それだけ悩み、年齢故に言い出せない、解決策の浮かばない俺たちの関係を、一瞬で変えたイヴ…… みんなの中でも、異質な存在ではあると思う。 「イヴには、本当に感謝してるよ? それまで胸の中に渦巻いていたものが、あんなにも簡単に消え去るなんて、夢にも思ってなかった」 悲痛そうな表情で、「だけど」と桜花は言葉を続ける。 「すぐに新しい感情が芽生えた」 「新しい……感情?」 「新しい恐怖。新しい焦り…… 私はね。きっと、イヴに悠樹を盗られるのが怖いんだよ……」 え……? イヴに俺を盗られる? 「あまりにも醜い。 自分が一番分かってる。 けど、否定できないの…… 私は、また悠樹を失うのが怖い」 「う、失うなんて…… それに、イヴに盗られる? どういうこと?」 フッと口だけ小さく笑み、桜花はストンとベンチに腰を降ろした。 「相変わらず、ホントに鈍感だね」 「……わ、悪かったな」 「でも、そんな悠樹のことが……」 その揺れる瞳に、涙が溜まっていることに気づくとほぼ同時に―― 桜花の唇が、俺の唇に触れた。 温かな……柔らかな感触。 唐突過ぎて理解の追い付かない俺の背中に手を回し、桜花はより一層強く、口付けをする。
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