1756人が本棚に入れています
本棚に追加
「今日も天織さんは休み、か……」
窓から覗く、雲ひとつ無い青空を見ながら、知佳は呟いた。
今日は球技大会当日。
実行委員とテニス部、それにそれらを統率する生徒会――つまり俺と知佳は、早くに学校に来ていた。
ちょうど、天候による変更の心配はないと確認し終えたところだ。
「じゃあ、俺たちはこれで」
「ええ、ご苦労様」
生徒会室を出ていったテニス部部長の挨拶を境に、2人きりになった俺と知佳の間に、妙な空気が流れる。
「――さて、と。
あれからなかなか2人きりになれなかったからね。
悠樹君、話してもらえないかしら」
扉の鍵をしめ、知佳は真剣な表情でパイプ椅子に腰を降ろす。
「……何を?」
「決まっているでしょう?
天織さんのことよ」
言葉に、詰まる。
そっか……病欠じゃないって分かってたのか。
それに、俺が関係してるってことも。
だけど……さて、どうしよう。
こんなこと、言うべきじゃないよな……
「……フったみたいね」
「え?」
俺の悩みを、一撃で粉砕する言葉。
ここまでお見通しだとは……
「何、すっとんきょうな声をあげてるの?
多分、悟志君もずっと前から天織さんの気持ちに気付いてたわよ」
最初のコメントを投稿しよう!