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まあ、知佳も悟志も、付き合い長いし、2人とも鋭いからね。
「悠樹君」
ずいっと顔を近付けて、壁に追い込むような形で、知佳は俺を指差す。
「言っとくけど……
フったからって、今まで以上に優しくしよう、だとか考えちゃダメよ?」
「別にそんなつもりじゃなかったけど……
でも何で?」
「天織さんは、あなたにフられた。
ということは、天織さんがあなたと付き合うことは、ない」
それは……当然のことだろう。
「だから、天織さんは、新しい出会い……新しい恋に進まないといけない。
その為には、悠樹君への恋心を抑え、消さないといけないわ」
「それが、優しくしたらダメなのと、何が関係してるの?」
知佳は、「ホンットに乙女心が理解できてないわね」と、呆れながらため息を吐いた。
……ああ、自分でも分かってるさ。
きっと、桜花の告白に対しての俺の返事は、最低だ。
もっと配慮した断り方があっただろう。
それが全く浮かばなかった俺は、微塵も乙女心とやらを理解できていない。
「いい?
悠樹君がいつまでも優しく接してたら、諦めるに諦められないじゃない。
冷たくしろとは言わない。
だけどね、本当に天織さんのことを考えるなら、接し方を熟慮するべきよ」
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