『それは球技大会』

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「まあいいわ。 じゃあ、先に教室に行くわね」 素っ気ない口調の知佳は、生徒会室を出ていった。 「おう!悠樹おはよう!」 「……おはよう」 偶然、廊下で出会ってしまったのは、いつもより大きなエナメルバッグを背負った信二。 知佳以外に、1日の初めに見るクラスメイトが信二なんて……実に不吉だ。 「今日は球技大会だな! 燃えてきたぜ~! 俺がいるから、うちのクラスは優勝だ!」 ガッツポーズを決める信二。 しかしだ……信二は勉強もスポーツもダメなやつなのに、なんでこんなにやる気と自信に満ち溢れてるんだ? まあ、信二のことについて、俺から質問するなんて屈辱的だけど、気になるから聞いてみた。 「えらい自信だけど…… 根拠はあるの?」 「フッフッフ……よくぞ聞いてくれた!」 ああ……うざったい。 「実はな……女の子たちにレッスンしてもらったんだよ、みっちりな!」 なん……だと? あの信二が、人に……それも異性に、教えを受けただと? 俄に信じがたい。 「……俺も、悟志やイヴや知佳と練習してたんだ」 「くっ……それはそれで羨ましい…… が!」 その無駄に膨張したバッグから、信二は何かを取り出した。 こっ、これは……!
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