『それは球技大会』

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「はんだごてっ!」 なぜ、意味の分からない名詞を叫びながら吹っ飛ぶのだろうか…… 「い、いふ(イ、イヴ)……」 「ひゃんっ」 「離れてくれ」と言うつもりが、くすぐったかったのか、イヴはビクンと反応した。 「ほら、もう大丈夫だから離れてやれよ。 悠樹、苦しそうだぞ」 「あっ!ゆーきごめんね?」 二度俺を助けてくれた声の主――悟志の言葉で気付いたイヴは、やっと離れてくれた。 いや、本気でまずかったよ……心身ともに。 「ふーっ。そろそろイヴちゃんの為にも、しっかりシメとかねぇとな……」 「ひ、ひぃぃ!? こ、これ貸してやるから許してくれぇ!」 そう言って、悟志に差し出したのは、さっきのゲームだった。 「『てにもえ!』だ?」 「そ、そうだ! 俺はこれをマスターしてきたから、今日のテニスはバッチリだぜ!」 「……信二」 悟志は、見るものを魅了する、爽やかスマイルを浮かべながら、信二の両肩に手を置いた。 次の瞬間―― 「あっ!」 悟志の左膝が、信二の手にあったゲームを高く蹴り上げ―― 「アウグスティヌスゥゥゥッ!」 大きく振り上げた踵を、落ちてきたゲームごと、信二の頭に降り下ろした。
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