1756人が本棚に入れています
本棚に追加
「はんだごてっ!」
なぜ、意味の分からない名詞を叫びながら吹っ飛ぶのだろうか……
「い、いふ(イ、イヴ)……」
「ひゃんっ」
「離れてくれ」と言うつもりが、くすぐったかったのか、イヴはビクンと反応した。
「ほら、もう大丈夫だから離れてやれよ。
悠樹、苦しそうだぞ」
「あっ!ゆーきごめんね?」
二度俺を助けてくれた声の主――悟志の言葉で気付いたイヴは、やっと離れてくれた。
いや、本気でまずかったよ……心身ともに。
「ふーっ。そろそろイヴちゃんの為にも、しっかりシメとかねぇとな……」
「ひ、ひぃぃ!?
こ、これ貸してやるから許してくれぇ!」
そう言って、悟志に差し出したのは、さっきのゲームだった。
「『てにもえ!』だ?」
「そ、そうだ!
俺はこれをマスターしてきたから、今日のテニスはバッチリだぜ!」
「……信二」
悟志は、見るものを魅了する、爽やかスマイルを浮かべながら、信二の両肩に手を置いた。
次の瞬間――
「あっ!」
悟志の左膝が、信二の手にあったゲームを高く蹴り上げ――
「アウグスティヌスゥゥゥッ!」
大きく振り上げた踵を、落ちてきたゲームごと、信二の頭に降り下ろした。
最初のコメントを投稿しよう!