『それは球技大会』

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見るも無惨な、その醜い姿そのままに放置し、俺たちは教室へ入った。 「おっはよ!」 「おはよー」 「おはよう」 みんなからの挨拶を返しつつ、俺の目はクラスの端から端まで、あのピンクの髪を探した。 だけど…… 「やっぱり、桜花は来てないか……」 「おーか、まだ病気治らないのかな……」 イヴはお見舞いに行こうと言ったんだけど、適当な理由とともにやめておこう、と止めておいた。 きっと、人と会えるような状況ではないだろうから…… 「あーあ。結局、悠樹の優勝かよ」 「まあ、相応しい結果だと思うわよ? 決勝のテニス部部長との試合は素晴らしかったわ」 球技大会も無事に幕を降ろし、更衣を終えた俺たちは、たまには……と、学園内にあるカフェに来ていた。 「まあよ。 確かにあの、最後の決め手になったスマッシュは言うこと無ぇわ」 「ゆーき、ホントにすごかったねー!」 「ああ、ありがとう」 そう言うイヴも、テニス部部長に準々決勝で負けてしまったけど、健闘してたよ。 「あー悔しいなぁ! 結局、現役の頃から悠樹には勝てず仕舞いか」 「そうよね……全く、悠樹君の理不尽な強さときたら」
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