『それは球技大会』

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「ふふふ……昔っから、ゆーきはみんなの目標だったんだねー」 「昔から?」 それに、目標だなんて…… 「あれ、そーじゃないの?」 「まあ、目標だったかもしれねぇな」 「そうね……そんな節もあったかもしれないわ。 それにしても、よく分かったわねイヴちゃん」 「見てたら分かるよー」 簡単に言ってのける、イヴ。 やっぱり、人の気持ちに敏感だな…… 「だから……おーかも、ホントは病気じゃないと思うの」 「……っ」 不意打ちだった。 俺も知佳も、思わず黙り込む。 「……なあ。 イヴは信頼できるだろ? その様子だと、2人とも何があったか知ってるみたいだな。 俺も、予想はしてる。 差し支えないなら、話してくれねぇか?」 差し支え、か…… 察してほしいことではあるけど、悟志もイヴも、無関係ではないし…… 「私が告白したの」 「え?」 俺たち全員は、声のした方を向く。 「お、桜花!?」 そこにいたのは、私服姿の桜花だった。 なんで、学校に……? ふと視界に入った、目の下にあるうっすらとしたクマが、俺の罪悪感を刺激する。 「で、フラれちゃった。 悲しくて、人に見せれない顔だっただけだよ」 気丈に笑う桜花。 そんな桜花の前に、イヴが立った。
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