『それは(きっと)デート』

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視界に広がるのは、絢爛な光景。 どれだけ価値があるのか、またどれだけ貴重なのか分からない、装飾品の数々。 達人が作り上げたのであろう、その品々に全く引けを取らない、内装。 俺のような庶民がお目にかかれないそれらは、もちろん―― 「では、しばらくお待ちください」 アルベルトさんが、丁寧な言葉とともに、頭をたれる。 「ご丁寧にありがとうございます」 「私は部屋の外におります。 何かご用の際は、お呼びください」 そう言って、アルベルトさんはまた軽くお辞儀をし、部屋を出ていった。 そう。今日俺は、珍しくイヴの家に1人で来た。 別に、みんなが多忙だったからじゃない。 と……ぼーっとしていると、再びドアが開いた。 「ゆーきー!お待たせー!」 「うおっと」 まあ、イヴが抱きついてくるのは予想してたさ。 俺はソファーから立ち上がり、軽いその身体を受け止めた。 「おはよう、ゆーき」 「うん、おはよう。 じゃあ行こうか」 「うんー!」 俺たちがどこへ行くのか。 なぜ、今日は俺1人なのか。 この2つに答えるには、少し時間を遡(さかのぼ)る必要がある―― 5月初頭。 いつものように、知佳と2人でキリキリと生徒会室で業務をこなしていると、突然勢いよく扉が開かれた。
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