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「ねーねー!」
もちろん、開いたのはイヴ。
開かれる前から足音で分かっていたから、俺と知佳は仕事を中止して、準備していた。
「はいはい、まずは落ち着いて」
「イヴちゃん、今日はどうしたの?」
「えっとねー」
イヴはごそごそと、制カバンの中を探り始めた。
「これっ!」
「ん?これは……」
その手に強く握られていたのは、明らかに豪華と言わんばかりに飾られた、2枚のチケット。
「あの先日オープンした、となり町の高級遊園地のチケットね。
何で、イヴちゃんがこんな物を?」
「えっとね……
何かユリアのお手伝いしたいなーって思って、お使いに行ってたのー」
とりあえず、「偉いぞ」とイヴの頭を撫でておく。
「でねー?
1万円以上買ったら、くじ引きができたの。
それで、当たったんだー」
また、運いいんだな……
「えっと、日付は……」
チケットに記された日付は、あまり遠くない日にちだった。
「この日は私、先約があるわ。
悠樹君とイヴちゃんの2人で行ってきなさいよ」
「えー、そーなんだ……」
「残念だけど、しょうがないよ。
それより、俺でいいの?」
「うんー!」
そう言いながら、イヴは特上の笑顔を見せる。
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