『それは(きっと)デート』

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いい香りするなー とか、柔らかいなー とか、悪いと思いつつも考えながら、メインストリートをしばらく歩く。 そして、入口でもらったパンフレットの地図を見ながら、行き先について話す。 「ゆーきは、どこに行きたいのー?」 「俺は、イヴが行きたいところなら、どこでも行きたいよ」 「ふふふ、優しーんだね。 じゃあ、私はここに行きたいなー」 イヴが地図上で指差したのは、『ハムレットの森』というアトラクション。 『ハムレット』というのは、この遊園地のマスコットキャラクターだ。 しっかし……ハムスターのような外見だからって、ハムレットってネーミングはどうなのかね? シェイクスピア作品の主人公の名前だし。 「お。俺も行きたいと思ってたんだ。 じゃあ行こうか」 「うんーっ!」 中世ヨーロッパの街並みを再現したような、レンガで出来た道を歩く。 レトロで落ち着く雰囲気の遊園地だな。 「ん?」 「ゆーき、どうしたの?」 気のせいか……後ろから視線を感じたような…… 道を行く、人混みとは言えないほどの人数。 その中には、こちらを注視するような人は見つけられなかった。 うん、やっぱり気にしすぎだろう。 「ごめん、何もないよ」
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