我が野球のない土曜日

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「一一ってことがあって。 即ち私は熟睡することが出来なかったというわけなの」 「なるほど。 そしてお疲れ」 これしか言えん。 へっ、自分の語彙力の無さに涙だぜ。 「お疲れって、何か他人事みたい…」 「だって、仕方ないだろ? 他にどう言えっていうんだ」 「大変だったね、とか」 あまり変わらなくない? それに他人事なんだから主観的にはなれんっつーの。 「ま、いいや。 お前がベッドを借りた理由が聞けたから」 「うん。 申し訳なく思ってるんだよ、一応」 「んで、ここにいるのか?」 「ううん、戻るよ。 お昼になるし、多分姉ちゃんの彼氏も帰った頃だろうし」 「そっか。 じゃ、俺は勉強の続きやらなきゃだから」 そう言って俺は再び机に向かった。 今度こそホントに古典を勉強するために。 「へー。 キヨが勉強かぁ」 「一応野球やりながらもやってたんだけどな?」 確かに2年の1学期、つまりは俺が事故に会うまでは全くやってなかった。 野球の推薦で大学に進学できると思ってたから。 でも、状況が変わった。 それからはコツコツと勉強してきた。 将来やりたいことなんて、大学に入ってから決める。 そう、思いながら。  
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