序章

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甲子園に行く。 それも、地元の公立高校・古瀬高校で。 それが俺・瀬戸清澄の夢だった一一… でも、その夢は叶わずに終わりを迎えようとしている。 キャプテンとして、こんな風に諦めちゃいけないってことは分かってる。 勝てる可能性がゼロじゃなきゃ諦めてはいけないはずだ。 でも、現状は9回表の古瀬高校の攻撃で、ツーアウトランナーなし。 そして、2点ビハインド。 たとえこの回に何とか追い付いても、古瀬高校は守備に付けないに等しい状況になってしまう。 なぜなら、古瀬高校野球部の部員は10人。 ボールを投げられない俺を含めて10人だ。 つまり、守備9人の中で、穴ができてしまう。 だから、普段こういう状況で俺は使われない。 でも、監督は勝負に出た。 「瀬戸、行ってこい。 お前のことだ、素振りはしてあるだろう。 …今の古瀬にとって、お前が最後の希望だ。 頼んだぞ」 「はい。 …皆、必ず繋ぐ」 バッティンググローブと、エルボーガード、フットガード(これらは野球用具です)を付け、ヘルメットを被り、バットを取り出して右打席へと向かう。  
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