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「プレイッ!!」
主審の声がグランドに響く。
俺はゆっくりと、ゆったりした構えに入る。
ピッチャーが頷き、フォームに入る。
一一シュッ!
内角のストレート。
(行ける!!)
一一キィィィン!!
俺の打った打球は、レフト線の大飛球だ。
フェアなら絶対ホームラン。
「入れェ!!」
思わず叫んでしまったが、叫ぶなというほうが耐え難い。
…しかし、
「ファールボール!!」
あと1メートルといったところか。
僅かにドライブした打球はファールゾーンへと消えていった。
(外したか… だが、次は捉える)
「プレイッ!!」
再び主審の声が掛かる。
ピッチャーがフォームに入り、その腕からボールが放たれる。
一一シュッ!
ど真ん中のストレート。
…こいつ、
(この俺を、舐めんなよ!!)
一一キィィィィン!!
再び響く快音。
俺の放った打球は左中間へと飛んで行った。
…が、
(な…んだと…!?)
異常な守備位置だった。
内外野共にかなりバックしていて、左中間は特に詰められていた。
そこに打球が飛んで行ったのだ。
(く…そ…)
走りながら、打球の行方を目で追う。
既に落下地点に入っているセンターと、それのカバーに入っているレフトが見える。
(落ちろ、落ちてくれ…!!)
俺の祈りは、叶わなかった。
大飛球はセンターのグローブに納まった。
「アウト!」
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