我が野球のない土曜日

3/15
4人が本棚に入れています
本棚に追加
/26ページ
俺が遭った事故は、飲酒運転が原因の交通事故だ。 車を運転していた人が、酒を飲んでいなかったら、あの事故は防げた筈(はず)だ。 何度も何度も、その運転手を恨んで、憎んだ。 でも、何も変わらなかった。  現実を見るしかなかった。 事故の後、俺は10日間意識が無かったらしい。 目を覚ますと、俺の右肩はグルグル巻きにされていた。 医者からは、複雑骨折だと聞いた。 そして同じ時に聞いた。 「その肩では完治しても、もう決してボールを投げられないだろう」と。 自分の運命を憎み、恨み、嘆いた。 (…過去は変えられない。 だったら、今何をすべきかを考えるべきだ) 気持ちを切り替え、勉強に集中を寄せる。 しかしながら、目の前にあるのは苦手教科・古典の問題集。 「分からん…」 俺は理数系だ。 古典はナンバーワン苦手教科である。 「1年生からやり直したいぜ、こん畜生が…」 本気でそう思う。 正直、かなり厳しい。 しかしながらそんな都合のいいことは無かったりするわけで、必死こいて教科書見て勉強するしかないんだ。 そんな時、部屋の窓ガラスがコンコンと音を立てた。 (美沙姫…?) …しかあり得ない。美沙姫というのは、俺の幼なじみである雅 美沙姫のことだ。 その美沙姫がどういう用件なのだろうか。  
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!