《偽善者の悪意》

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金が人を狂わす。 一番初めに気付いて一番に止めなければいけなかったはずの弟までもが欲望に狂う。 仕事もせず昇の財産で日々生活し贅の限りを尽くす。 海外旅行は当たり前、昇を兄に預けては旅行に行きブランド物を買いあさる。 いくら兄が言っても坂田富子が言う事を聞かない。 そして祖父が他界。 祖父が亡くなり実家を弟が高台のアパートを兄が相続。 完全に頼る所を失った昇は兄に懐くようになる。 しかしそんな生活が続く訳も無く昇が高校に上がる頃、その財産の殆どが底をついていた。 ここ数年で跳ね上がった生活水準、急に戻す事は出来ない。 富子の提案で相続した実家を担保に金を作る。 そしてまた湯水のように使う。 結果、支払い出来ずに実家は差し押さえ退去命令。 競売で業者が落とすも田舎の為、噂が広まり買い手が付かず。 その実家が谷口昇の住民票が移動されていたあの空家。
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