《偽善者の悪意》

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『ちょっと待って下さい…』 『ひとつ確認だけを…』 冷静な口調で上司が割って入る。 『ええよ』 私が応じると富子を連れ応接室を出ていく。 普段なら絶対させないのだが富子の夫が居ては話せない内容もあるだろう。 昼ドラ継続中かい… 今さら富子が自分に都合よく話しをすり替えても先程までの態度がそれを否定してくれる。 何の話しでもええけど早い事済ましてや… 富子に都合よく詐欺の片棒を担がされ、目の前で浮気相手に妻を連れ出された夫が私の横で負のオ―ラを放つ。 あかん‥あかん… 空気が重たい‥窒息する… 静かにドアが開き戻ってくる2人。 険しい表情の上司、その後ろから少し表情の緩んだ富子が入ってくる。 なんやあの顔… 乳でも揉んでもろたか… ソファーに座り上司が話し出す。 『相澤さん‥今回の件は…』 『こちらで責任を取ります』 はぁ‥さいですか…
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