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『克司さんあんた…』
まずはその姿を突っ込もうと声を掛けた瞬間、全身を被うビニール袋をひるがえし裸足のまま勢いよくぬかるんだ田んぼに飛び込んだ。
えっ‥ちょっ…
一瞬の事で理解出来ない間に全力疾走で遠ざかって行く。
あれっ‥逃げた…
時々立ち止まってはこちらをチラッと見てまた走り出す。
いや‥追いかけんよ…
俺ス―ツやし…
まさかの逃亡劇、黒のビニール袋だけを纏った裸足の紳士が田んぼを駆け抜ける。
こんなもんどうやって対処したらええねん…
遥か彼方、米粒のように小さくなってもまだ走り続ける。
どこまで…
何事もなかったように洗濯機を回し続ける母親。
何に反応したのか一斉に鳴き出すカエル。
あまりの急展開に何も出来ず呆然とする私。
なんやわからんけど…
スゲェ…
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