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異世界に飛ばしはするが殺しはしない。
手を出せないようにはするが殺さない。
何もできない人間を、敢えて生かすその理由。
尤も、何もできないならば殺すも殺さないも同じ。故に殺さなかったということも考えられる。
しかし、それなら同様に殺しても同じということ。
ならば何、故生かしたのか。
「それこそバレンの場合…なんとなく、気まぐれ、ってことがありそうだけど」
意味なんて無い。ただの偶然。
バレンの場合、それで説明がついてしまいそうなのが怖い。
結局ただの偶然ならば、この思考錯誤も全く持って意味がない。ただ精神的疲労を伴うだけである。
そしてそればっかりは、いくら思考を繰り返そうが出ない結論なのである。
それこそバレンに直接心中を問いたださない限り、答えは出ないのだ。
「…………何しよう……」
単純に今の状態を説明しよう。
すぐ終わる思考は終わり、長い思考は結論が出ず、部屋の中にはベッドしか無い。
要するに、何もできない状態なのである。
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