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「ああ、とにかく行かないと」
寝ていた為についた服のシワを簡単に直し、一応布団を整えてから、抑えられない欠伸に少しだけ抵抗しつつ、部屋を出て階段を下りる。
案の定、というか当然のように、そこにはウィルバーの姿があった。
と、言うつもりだったのだが、そこにウィルバーとプルースト…またはミロの姿はなかった。
「……?」
下りてこいと言われたから下りて来たが、誰もいない。
そう思いながら辺りをキョロキョロと見回すと、外でガタガタと音がしていた。どうやら外にいるらしい。
何をしているのかと扉を開ける。
窓からの光しかなかった薄暗い部屋の中へ、昇りかけた日の光が差す。その光が眩しくて左腕で目を覆った。
「おはようございます。そろそろ出発ですよ」
そんな俺に、あの声が聞こえる。
太陽をバックにしているせいで眩しいためちゃんと見えないが、ウィルバーがそこに立ち、笑顔を向けていたことだけは確認できた。
「…もう出発するのか?」
隣では、プルーストが乗っていた馬車と荷台。それの上で荷物を整理しているミロかプルーストの姿。
準備をしている、しかもそれがほぼ完了しているのは明白だった。
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