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外に出て、荷台の方にのろのろと寄る。さっきの位置では眩し過ぎてろくに顔も見られないのだ。
「準備はできました。後は健介さんを積み込めばすぐに出発できますよ」
ウィルバーが言う。
「…俺は荷物扱いなんだな」
「いえ、ただの荷物よりは使えると思っていますよ」
にっこりと笑うウィルバーに苦笑いを返しながら、後ろから荷台へ乗り込む。
荷台の上は意外と広いが、左右に木の箱やら毛布のような布やらが積まれていて、本当に文化レベルは中世なんだと実感させられる。
こんな感じのドラマのシーンをテレビで見たことはあるが、まさか実際にその荷物たちと積み込まれることになろうとは思っていなかった。
似たようなことはプルーストに乗せてもらった時に思ったが、あのとき荷台には何も無かったからそこまでの実感は無かった。しかし、今回はそれを特に思った。
荷台に完全に乗り込むと、正面にはミロ、いやプルーストが乗っていた。
運転席らしきところに腰掛け、振り向いた顔が笑みを作っている。その笑い方に、どことなく男性的なモノを見た気がしたのだ。
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