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ガタン、と大きな石でも踏んだのか、荷台が大きく揺れた。
「ぁ痛ッ」
荷台に寝そべっていたのだから、当然体には揺れによるダメージがまるまる当たる。ちょっと跳ねただけだったが、無防備な頭が荷台に叩きつけられたのだ。結構痛い。
意識が無い以上頭を庇うことはできなかったから、無防備だったのは仕方がないのだが。
「…………」
側頭部を抑えながら、荷台の上で横になっている今の状態のままふと考えた。
横になっている?
意識が無かった?
「─────ッ!」
頭を押さえている手を離し、両手をついてガバッと上半身を起こす。
しまった────寝ていたのか───!!
「おお健介さん、起きたのかね?すまんのぅ。このあたりは道が悪いんじゃ」
寝坊して遅刻したことを悟った瞬間みたいな緊迫感でいっぱいになった頭だったが、聞き覚えのあるその声ははっきりと聞こえた。
聞き覚えがあるのは、声だけだったが。
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