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「────な」
足下の地面が、ぱっくりと開いている。
重力にはまぁ逆らえなかったので、自分はぱっくりと開いた穴に、落ちるしかなかった。
「なぁぁぁぁぁあぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーっべぶ!!」
落ちるしかなかった。
なかったんだけど。
「………痛でで…チクショウ…」
地球の反対側まで続いているんじゃないかと思ってしまうような、本当に真っ暗な穴だったので、まさか落ちたと思った瞬間にはもう底に到着している状態になるとは思っていなかった。
落ちると思った瞬間の、あの『ひょっ』って内臓が持ち上がるような感覚を無駄に味わっただけではないか。
頭の中はなんだかよく分からなかったし、分からないままに底に叩き付けられたから未だによく分かってないし。
だがもちろん、分かっていることもある。
あの──この?──穴は、バレンの仕業だろうということ。
『……消せ…と…』
最後に、…厳密には最後じゃないが、バレンはそう言った。
自分達の計画の邪魔になる者は、不要だから邪魔にならないようにしておこう。
そういう魂胆で、ルーさんを穴に落としたに違いない。
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