1~restart~

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ピクピクと動物のように動いている耳の持ち主──つまりはこの俺、斧塚健介[オノヅカケンスケ]は、見て分かる通り、人間ではないのである。 およそ一般常識とは言えない事実であるから、ここで一度しっかりと説明しておこう。 この世界には、俺のように人間ではない者達──具体的には、魔術師や超越種と呼ばれる異端者達──が、隠れながらも確実に存在しているのだ。 超越種である俺は、細かい分類では‘鬼’にあたる。 鬼とは、一般的に角があって、肌が赤くて、しましまの雷パンツを履いているイメージがあるだろうと思う。少なくとも俺にはそういうイメージがある。 だが実際の鬼というのはそうではない。多分、角のあるそういうのを見た昔の人が「鬼だ!」とか言い広めてしまい、それが一般的になってしまったんだと思う。だから古いとは言わせねぇ。 ちなみに、鬼の厳密な定義は‘動物特異の特徴の一部分を生まれつき有する人型の生物’のことを‘鬼’と言う。 俺は犬の特徴を保有している超越種だ。不自然に鼻が高いこともあるのだが、犬耳を持ち、嗅覚が異常発達の域を越えている。 これは紛れもなく‘鬼’である。               ‐
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