アビリティー

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寝音「兄さん‼ 何時までも寝ている つもりなんですか⁉ 早く起きなさい‼‼】 目蓋を無視するかの如く 入り込む日光。 反抗してくる寝起きの体。 絞り出せない乾燥した喉。 目覚め最悪な中で 遙は静かに目蓋を開いた。 そこにいたのは一人の少女。 公立高校にありがちな 紺のブレザーに 膝上10センチの長さの チェックのスカート。 細く柔な白い素足。 キレイにくびれた腰。 だが胸がない。 どんなに頑張っても Bカップ程度かそれ以下。 そんな少女は サイドテールにして 毛先が肩にかかるほど。 スプレーをしているのか 少々ボリュームを持った 綺麗な黒だ。 顔はメイクをしていないのに 可愛らしい。 目はパッチリ大きく 鼻も小さいし顔は小顔。 こんな美人が葉月 寝音だ。 そんな彼女はムスッとした顔で 水の入ったコップを 持っていた。 寝音「早くして下さいね。 水はここに 置いておきますよ。」 言い方は少々キツいが 根は優しい女の子だ。 寝音は踵を返して ドアへ向かう。 遙「音芽姉さんは?」 ドアを開いて後ろを振り向く。 そして呆れた顔で しゃべりだした。 寝音「今日は4月17日。 私たち新入生の入学式と 始業式でしょ⁉ まったくぅ… お姉ちゃんは生徒会長だから 朝早くに行った❗ 昨日言ってたでしょ⁉ あぁもぅ❗ 面倒くさい‼❗ 先に行くからね。」 そこまで言うと寝音は 扉を完全に開いて 部屋から出ようとした時、 遙が寝音を呼び止めた。 ビクッと肩をふるわせたが 「何」と聞くだけだ。 振り向かずに。 そんな寝音に遙は 言い忘れていた言葉を言った。 遙「制服似合ってるぞ。」 遙からは 寝音の表情が見えない。 だが寝音の声と言葉で 容易に表情は想像できた。 寝音「早く着替えてよね‼ 4月でも朝は寒いんだから。」 そう言い残すと 寝音は早足で部屋を出た。 遙は水を飲み干してから いつもと何ら変わらない ブレザーの制服を着てから パンを頬張りながら食べた。 これだけでほんの10分。 髪の毛のセットに10分。 支度は昨日のウチに 出来ているから あとは家を出るだけ。 扉を開いて外へ出る。 確かに寒い。 身震いしてから扉に鍵をかけて 寝音のもとへ。 そして桜並木道を通り 通い慣れた学校へ。
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