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銀木犀香る
秋の澄んだ空の下
白き小さき花の絨毯
眠ったような君の顔
最後の記憶
むせ返るような金木犀の香りが街に満ちる中、たった一本だけの銀木犀が咲く頃。
俺はいつも君のことを想う。
いつもいつも、君を想う。
君は、優しい人だった。
君は、凛とした強さを持っていた。
君は、意外にも泣き虫だった。
君は、微笑みが印象的だった。
君は、かなりのくすぐったがりだった。
君は、自分より周りに気を配っていた。
君は、人に頼られて緊張ばかりしていた。
君は、弱さと脆さを持っていた。
君の、澄んだ目。
君の、少し低めな透る声。
君の、不器用な指。
君の、綺麗な黒髪。
君はよく、空を眺めていた。
君はよく、花に想っていた。
君はよく、風と戯れていた。
君はよく、水に触れていた。
君は、強さと弱さを持っていた。
君は、自由の象徴だった。
君を、そういう風に思っていた。
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