転。

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しかしなぜか璃紅が頭にたんこぶを作ることはなかった。 転ぶ前はあった電柱が、目を開けるとなくなっていた。 膝を付くだけで済んだのだった。 璃紅はハッとした。 電柱が消えたことに気付いた・・・わけではない。 きょろきょろと周りを見渡す。 自分が盛大にこけた所を、目撃した人間がいないか確認しているようだ。 幸い誰も見ていなかった。 璃紅は「ラッキー」と呟き、少し眠気の飛んだ眼をパチパチさせながら、高校へと急いだ。
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