:Ⅰ章

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「あぁ、今日もいっぱい笑ったねぇ八重♪」 「………………あ、うん。そだね。」 「…? 八重?どしたの?」 「ううん。なんでもないよ。早く帰ろ、急いで帰ろ。」 そう言うが早く、八重は明の手を引いて早足に歩きだす。 「わわっ!どしたの、八重?なんか用事でも思い出したの!?」 明が疑問に思っていると、後ろから 「そこのお嬢さん方。ちょっとお時間いいかい?君達に聞きたい事があるのだけれど。」 と気の抜けた、間延びしたと表現してもいい柔らかい、女性の声が聞こえた。とっさに明が振り返り、答える。  はずだった。 「はいはい!なんでしょ…う……か……。」       茫然    唖然        呆然    絶句    『人に質問されたら答える』       当たり前である。         しかし    それは『普通』であればの話 明達が振り返ったそこに           『 普通 』               は無かった 性別、女性   見た目年齢は20ほど 左右にぴゅんぴゅん跳ねさせたツインテールに、まるで蟹を彷彿とさせるような赤と白を基調とした迷彩服(いったいどこに隠れるつもりなのだろうか。) そして何より目を引くのは、 『普通』じゃないのは、 正面の彼女が、 身の丈ほどの巨大な゙蟹の鋏゙を担いでいたからである。 「あぁ、質問の前に名乗らなきゃね。 あたしの名前は挟川 漣(ハサカワ サザミ) 君達に聞きたいコトがあるんだ、聴いてくれるかなぁ?」 漣と名乗った女はにこやかに微笑みながらフレンドリーにそう言った。
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