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「あぁ、今日もいっぱい笑ったねぇ八重♪」
「………………あ、うん。そだね。」
「…? 八重?どしたの?」
「ううん。なんでもないよ。早く帰ろ、急いで帰ろ。」
そう言うが早く、八重は明の手を引いて早足に歩きだす。
「わわっ!どしたの、八重?なんか用事でも思い出したの!?」
明が疑問に思っていると、後ろから
「そこのお嬢さん方。ちょっとお時間いいかい?君達に聞きたい事があるのだけれど。」
と気の抜けた、間延びしたと表現してもいい柔らかい、女性の声が聞こえた。とっさに明が振り返り、答える。 はずだった。
「はいはい!なんでしょ…う……か……。」
茫然 唖然
呆然 絶句
『人に質問されたら答える』
当たり前である。
しかし
それは『普通』であればの話
明達が振り返ったそこに
『 普通 』
は無かった
性別、女性 見た目年齢は20ほど
左右にぴゅんぴゅん跳ねさせたツインテールに、まるで蟹を彷彿とさせるような赤と白を基調とした迷彩服(いったいどこに隠れるつもりなのだろうか。)
そして何より目を引くのは、
『普通』じゃないのは、
正面の彼女が、
身の丈ほどの巨大な゙蟹の鋏゙を担いでいたからである。
「あぁ、質問の前に名乗らなきゃね。
あたしの名前は挟川 漣(ハサカワ サザミ)
君達に聞きたいコトがあるんだ、聴いてくれるかなぁ?」
漣と名乗った女はにこやかに微笑みながらフレンドリーにそう言った。
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