:Ⅰ章

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総人口約70万を超える巨大都市『天之宮』 ここは五つの町から成り立っている。 山に面した『北天之宮』― 海に面した『東天之宮』― レジャー開発に力を注ぐ『西天之宮』― 超田舎『南天之宮』― 物語の主な舞台となる『天之宮中央』 『私立天之宮北高校』 天之宮中央の北の方に建つこの学校の校庭にこの物語の主人公がいる。 ボーイッシュなショートカットで、いかにも活発そうな笑顔の少女。 そしてその数歩後ろでそれを母の如く優しく見守る少女、背の半ばまで伸ばした髪がゆったりとした歩調に合わせて揺れている。 不意に前を歩いていたショートカットが踵を軸にグルンと振り返り、 「ねぇねぇ、八重(ヤエ)?なんでこんなに人多いんだろうねっ?」 と後ろ歩きで楽しそうに問いかけた。 八重と呼ばれた少女は溜め息混じりに 「仕方ないでしょ?明(アキラ)。今日は大分特別な日なんだから…。」 と返し、更に、 「そんなにはしゃぎ回ると人にぶつかるよ?」 と、付け加えた。
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