:Ⅰ章

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明が地味に転ぶ瞬間を後ろから見ていた八重は、そう慌てるでもなくゆっくりと歩み寄りそっと明を起こし優しく砂を払い、 「…………三年間」 と、ボソッと呟いた。 八重の呟きにビクッとしつつも、 「れ、練習だよ!練習!ほら、何事にも練習は必要だって言うじゃん!さっきのは一回でどれだけ汚れるか試しただけだよ!」 などと気丈に強がって反論してくる。 「(そのセリフの時点で破綻してるよ…なんて言ったら拗ねるんだろうなぁ)」 なんて思っていると、明は急にバッ!と拳を太陽に突き上げ―― 「今から!今から三年だから!よーいスタート!」 ――スタートフラッグよろしく、振り下ろした。
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