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左手を数回握ったり開いたりしてから、ギュッと拳を作り、構える。
ヤツはすぐそこまで迫っていた。
さ、て、と……。
ヤツに意識を集中する。
するとどうだ。
まるでビデオのスロー再生を見ているようにヤツがゆっくりと剣を振り下ろす。
ヤツは俺の姿を見るやいなや悲鳴をあげようとする。
が、もうすでに俺の拳が腹に打ち込まれていた。
くぐもった打撃音。
人を殴ったときのあの何ともいえない感覚。
「……あぁ。」
……こいつはもう確定だな。
そう思ったとき、気づかない内に俺は笑っていた。
「………くっ、くっくっくっ。アーハハハハハ!ひーーヒャヒャヒャヒャアー!!」
笑いが止まらねぇ!
いつ以来だっけか?人を殴って嬉しくなったのは……。
今んなこと関係ねぇか?
とりあえず。
「ッ……………あぁ。いいぜ、クソジジイ。テメェのいう異変とやらをブチ壊してやるよ……。」
んで、今まで溜まっていたストレス全部吐き出してやる……!
そのためにはまず、あのクズども片付けねぇとなぁ?
足下で悶える野郎をしり目に、民家の外へ出てきた。
村人たちは騒然としているが、んなこと関係ねぇ。
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